2020.01.10 関口団長のお便り

 

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

 

 

 お正月休みも終わり、いよいよ2020年がスタートしましたね。私は今回15日の日曜日までお休みをいただきましたが、16日の仕事始めから本当にうれしいことがありました。それは毎日のように患者さんが物資を届けてくださることです。

 

 もちろん、このハロアル活動を始めてから、毎日たくさんの方々が物資を届けてくださります。しかし、新しい年が始まり改めて目の前に歯ブラシや石鹸が山のように積まれているのを見ると、患者さんたちに新年のあいさつをした後に、さらに「物資ありがとうございます。」と感謝の言葉で診療がスタートできるこの環境を心から嬉しく思いました。また、昨日は私の町から数十キロも離れている方が物資を送ってくださった段ボールの中に「若い方々の声を聞くのを楽しみにしております。活動頑張ってください」と、寸志まで送ってくださいました。2月の活動まで残り1か月。しっかり準備をして、皆さんの思いにこたえられるよう、頑張っていきましょうね。

 

 さて、そんな嬉しいことばかりではなく、実は大変悲しい訃報が私のもとに届きました。私たちのハローアルソンの活動を長年支援してくださり、長野県で毎年3月に開催されるハロアルの活動報告会ではいつも大きなお祝いのお花をいただき、また、私や祐介先生を様々なメディアや専門雑誌、医療新聞などに紹介していただき、ハロアルのすばらしさを皆さんにお伝えするためのパイプ役として支えてくださった、佐藤ふみえ先生が先日お亡くなりになりました。私は遠方のため、なかなかお目にかかる機会がありませんでしたが、15年前、初めて先生にお会いしたときこんなことをおっしゃっていただきました。それは活動報告会の時、私のスタッフが初めて人前で発表する際に「私たち歯科衛生士は現地で歯ブラシ指導をしてきました。」と言いました。この言葉を聞いて特に間違っていないように思えますが、会が終わったあと、ふみえ先生は私に「関口先生、とてもいい発表でしたよ。ただ、一点。歯ブラシ指導という言葉は少しきつい言い方に聞こえないかしら。私たち医療側はいつでも謙虚で患者さん側に立って物事を考えないといけないわよ。それはあなたのボランティアにも通じることになるんじゃないかしら。」とおっしゃいました。開業したて、ハロアルも参加したてのあの頃の私は、無我夢中の中に、医療人として、一人の人間として忘れてはならないものを、気づかないうちにおろそかにしていたのかもしれません。そして数年がたち、私も団長となり、たくさんの皆さんの「ありがたさ」に気づき始めたある時の報告会で、私はふみえ先生にその思いで話をしました。すると先生はそのことを覚えていらっしゃったようで笑いながら私にこうおっしゃいました。「団長、あなたはもうすでに立派な先生になっているいわよ。そして、あなたも今西先生もちゃんと林先生の言っている意味を理解しています。これからも頑張ってね。」

 

 ふみえ先生、今まで本当にありがとうございました。先生の言葉は今でも私の金言(きんげん)になっています。どうか安らかにお眠りください。合掌・・・。

 

2020110日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人