2020.04.10 関口団長のお便り

 

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

 

 

今、12500万人を乗せた「日本丸」はおそらく建国史上最も過酷といって良いほどの

 

困難な航海を進んでいます。

 

戦争をはじめ、幾多の災害によって様々な国難を克服してきた我が国も、こんなにもリーダーの力量不足と、この船のかじ取りをしなければならない政治家の無能さで、船の漕ぎ手である国民が次々と病に感染し、尊い命を落とさなければならない事態になりました。

 

しかし、これは全て政治や国、行政だけの問題ではありません。

 

祐介先生。私の地元栃木県那須もいよいよ新型コロナウィルスの感染が発症し。昨夜、市民へ一斉通達がありました。もちろん人口密度や人の多さの問題はあるでしょう。

 

しかし私はあえて言わせていただきたい。先日の休日、私は那須の麓でお蕎麦屋さんをやっている友人の店に昼食をとりに行きました。そこはとても美味しくいつも賑わっていますが、やはりコロナの影響で駐車場には23台しかありません。しかしその車のナンバーは全て他県、東京を中心とした関東近辺の車です。彼も複雑な顔で私を見ています。ここだけではありません。今、このような状況になっているにも関わらず、ホテルやレストランに来る方は全て他県からの人たちばかりです。もちろん、そちらの大変な事情はわかります。しかし、このような田舎と都会の最大の違いは、もし、コロナウィルスの感染が疑われても検査を受けることができる、また、受け入れてもらえる病院がとてつもなく少ないということです。現に、昨晩の感染者は3件の医院を受診しようやく隔離されたのです。また、私たち地方の人間も同じです。不要不急などという難しい言葉ではなく、「用もないのに都会にいくな」と言いたい。原宿や渋谷など若者たちが賑わう場所にいるのは大抵、地方からの若者たちばかりです。若者たちだけではありません。本当にみんなが取り組まなければ大変なことになります。

 

祐介先生。先日先生は緊急事態宣言に対して「来るな」という言葉を使わないでくれとおっしゃいました。私も同感です。都会は都会なりの地方は地方なりのそれぞれの問題を抱え、

 

特に観光地などは皆さんが足を運んでくださる恩恵に授かって今日まで来れたのです。

 

しかし、今、そのようなことを問題にするレベルではありません。那須にしかり軽井沢にしかり、このまま皆が「自粛」の意味を自由に捉えたら、ここ数週間で今度は地方に爆発的な感染が広まる可能性が大いにあると思います。

 

今、この船の航海図に掲げられた当面の目的地は「466億のマスク大作戦」です。もはやギャグです。こんな金があるなら全国の最前線で戦う医療機関に配るなり、国営のマスク工場を即座に作るなり何か手立てがないものと思うのは私だけでしょうか。

 

国民の一番の不安は感染拡大と今後の補償です。補償もないのに今日稼がなければならない人たちにとって自粛など出来るはずもありません。政治家よ、そんなに責任を取ることが怖いか!国も県も責任のなすりつけばかりではないか。まず明確な補償を打ち出し、その後復興税のように景気が回復したのちに新たに国民にお願いをし、ウィルス克服税などを作ってみんなで補填(ほてん)をする案でもよいのではないでしょうか。私たちが見たいのは今生きるための航海図なのです。皆さん、どうか十分にご注意しながら、節度ある自粛をしましょう。

 

2020410日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人