祐介先生、牟田さんこんばんは
今、世界中がコロナ問題一色となるなか、今年も来週8月15日、75年目の終戦日を迎えようとしています。そして昨日8月6日、明日、8月9日は原子爆弾が広島、長崎に投下された日になりますね。当時広島市民35万人のうち14万人以上、長崎では7万4000人が死亡したといわれ、アメリカによるこの人類史上最も残忍な殺人テロは、その後放射能による様々な人体への影響を及ぼし、「被爆者」という社会的偏見を生み多くの方を苦しめました。
戦争は絶対に繰り返してはいけません。憎しみは争いを生み、戦争は破滅へと続き、そして失われた尊い命は決してよみがえることはできません。戦争は命だけではなく全てのものを奪います。その国の文化、歴史、価値観、そして未来までも変えてしまいます。
しかし人類は幾度となく同じ過ちを繰り返してきました。祐介先生、戦争をなくすことはできるでしょうか。私は正直それは不可能だと思っています。今の世界を見てください。確かに核縮小の傾向はありますが、現在世界に自ら核保有公認を訴えているのは5か国、アメリカ、ロシア、フランス、イギリス、中国。そのほかにインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮が保有し全世界で1万4000発以上の核が存在しています。公認核保有国って・・・。この存在がすでにこの国々は戦争をなくすところか、核の放棄どころか武力を平和の為の抑止力と正当化し、さらに経済的弱小国に対し核を外交のカードとしてちらつかせる正に強者の論理そのものなのです。
また、2017年3月に国連で核兵器禁止条約の交渉会議が行われた際、国連加盟国のおよそ7割が協力しての会議にも関わらず、情けないことに唯一の被爆国である日本は参加をしませんでした。世界はアメリカの核の傘に守られた日本が出席すればアメリカの機嫌を損ねるからという日本の行為に落胆したと報道されました。そして会議室の誰も座らない日本政府の議席の上に一羽の折り鶴が置かれており、そこには「neclearban “ wish you were here” : 核禁止・君がここいいてくれたらいいのに」と書かれていたのです。テレビでは「唯一の被爆国」という表現をしますね。その私たち日本がやらなければならないことはいったいなんでしょうか。私は「戦争をなくすことはできない」と言いました。しかし、なくすことはできなくても「止めることはできるはず」です。
今、世界中がコロナという見えない敵に対し恐怖しながらも、あらゆる分野で「生きる」ために世界中の人が力を合わせています。そう、、私たち人間は生きるために今一つになっているではありませんか。核は決して世界を一つにしません。武器は決して私たちを平和に導くことはできません。私たちが争わず互いに憎しみ合わず、本当に平和を望むならば、助け合い、分け合い、違いを認め合う努力をしなければなりません。
過去は変えることはできなくてもあの爆弾で犠牲になった方々の平和への思いを今を生きる私たちが過去にしてはいけません。皆さん、祈りましょう、そして誓い合いましょう。私たちを一つにするもの。それはどんな時も私たちの心なのですから・・。
2020年8月7日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人