2020.10.09 関口団長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

今週末にかけて台風14号が関東や東海に上陸する恐れがあるいわれ、私の地元栃木県ではすでに昨晩から雨が降り続き、明日の土曜日などは小学校や中学校などで、このコロナ禍でも先生や子供たちが一生懸命準備をしてきた、体育際や運動会はすべて延期となりました。残念ですが致し方ありません。早め早めの対策こそが安全に繋がりますね。

さて、祐介先生。10月の今頃といえば毎年翌年度のハロアルフィリピン医療ボランティア現地活動のために、私たちは実際にマニラに行き、治療エリアやスラムの状況などを隈なく調査する、現地視察をおこなっている時期ですね。

しかし、今回はコロナウィルス感染拡大のために2021年度の現地活動は「延期」となってしまいました。どうですか?祐介先生。お互い15年以上この活動に携わり一年間を通じて、準備をし、様々な場所で支援を呼びかけ、そして視察をして参加者の皆さんが「楽しかった」と言ってもらえるように、それこそ一日たりとも休まず走り続けてきたこのボランティアが、来年できなくなるということに、実は最近言いようのない

「寂しさ」を感じています。もちろん、日本でやれることは沢山あり、こんな時だからこそ私自身の真価が問われることは承知していますが、このような状況になって改めて自分にとってハロアルという存在がとても大きかったことを感じました。

現地ではたった1本の歯ブラシにも困窮するスラムの人たちと触れ合い、日本では治せる歯もここでは痛みをとる最後の治療「抜歯」を選択しなければなりません。その中で貧しさをともに支えあい、喜びを分け合いながら笑顔で生きる彼らから、私たちが当たり前のように生きていることの素晴らしさを学びましたが、実際に来年の活動が延期となり、私にとってハロアルの存在そのものが当たり前のように自分の人生に位置づけられていたことに気づかされます。

しかし、それでも再開を信じ、現地では今でも私たちの物資をメンバーたちがスラムの人たちに定期的に配布してくれています。そして、毎日のように変わらず沢山の人たちが物資を医院に届けてくれます。

17年前、祐介先生が初めて私をこのボランティアに誘い、会長 林春二先生とお会いした時、先生が私にこうおっしゃいました。

「歯医者としての知識や技術は学会やセミナーなどで習得できるが、人間の心を成長させるためにあなたは何をしているのか。」

まさに今、このコロナ禍ですべてが当たり前にいかない時だからこそ、今まで学んだハロアルでの私の心の成長が試されていると日々感じています。

できないことを嘆くのではなく、それを新たな糧にして、必ず来る次のために頑張っていこうと思います。

 

2020年10月9日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人