2020.10.30 林会長のお便り

祐介先生・牟田さんこんばんは。

 10月もあと1日になってしまいました。今年もあと2か月、60日で終わりです。今年の年頭の思いはどうだったでしょうか。もっと勉強しよう。もっと一生懸命頑張ろう。今年こそは悔いのない年にしよう・・・・。年の初めの正月には、素直な心になって神様だって、仏様だって、一言の文句も言えないような素晴らしい皆さんだったと思います。

 ところがどうでしょうか。年が明けるとすぐに、新型コロナウイルスの問題が起きてしまいました。ここで正月の思いはすっ飛んでしまいました。最初は中国の武漢でしたが、瞬く間に世界中に広まってしまいました。あの時、「中国だからこんなウイルス感染症を起こすのだ」とタカをくくっている人、いやせせら笑っていた人さえいたのではないでしょうか。「人のふり見て我ふり直せ」という(ことわざ)がある通り、「私達にも何か足りないとことや、変えなければならない所があるのではないだろうか」と自分達を見返るユトリがあったらどうだったでしょうか。もっともっと違っていたと思います。

 オリンピックや、外国人誘致に頭がいっぱいで気が回らなかったのだと思います。訳の分からない病気が流行ったら、まず第一に「注意すること」です。「あの国なら仕方ない」とか「あの人なら当然だ」と批判的になることより、まず「私達もならないように注意しましょう」という謙虚な気持ちが欠けていたように思います。その心の隙間(すきま)にアッという間にウイルスは侵入してしまいました。幸いなことに日本人の清潔感や勤勉さは世界中のどこより素晴らしいものがあったために、これで治まっているのだと思います。「Go to ~」、経済も大切ですが、みんなが生きるためにとるべきことが、もっとあるはずです。急激に売り上げを増やすために、おいしい寿司も必要ないとは言いませんが、おむすびでも生きていけます。今、日本丸は沈没寸前なのです。自分の乗っている船が沈みかけているのに寿司じゃなければ嫌だという前に、まず命を救うことが大切です。安くて安心して食べられたらそれでいいです。補助金を使って売り上げを上げても、そのツケはどうするのか考えましょう。

 昨日、東京に住んでいる高齢の弁護士の先生が、紹介で入れ歯の治療に来てくれました。わざわざ東京のど真ん中から信州の山の中に来ることもないのにと思いながら診せてもらいました。「大学病院でも診てもらったし、著名な先生にも診てもらったが、うまく入らない」ということでした。入れ歯を見ると、とても人の口の中に入るような代物には見えません。顔には顔、体には体の形があるように歯にも歯の形があります。先生の歯は、とてもそうには見えません。そこで入れ歯をありったけ削って、新しく作りなおしたかのように治しました。今までの歯とあまりに違ってしまいましたので、痛みが出ないよう注意深く調整しました。そして今日です。どうでしたかと聞くと、「具合良かった。今までと全く違う」というので、歯がしっかり入ると温泉に入ったように「ホッとするでしょう」と言うと、「そんな次元とは全く違う。これで生きる活力が湧いてきた」と言ってくれました。

20201030

 

医学博士・歯科医師 林 春二