2020.12.04 林会長のお便り

 祐介先生・牟田さんこんばんは。

 今年もいよいよ最後の月に入り、第一回目の放送になりました。残すところ3回です。今年はコロナに始まりコロナで終わりそうですが、この未知のウイルス疾患も一年経ってみると様々なことがわかってきました。「幽霊(ゆうれい)見たり枯れ尾花(おばな)」夜道で薄ら明かりの中、ススキの穂が揺れる様を見て、あたかも人魂(ひとだま)が飛んでいるのではないかとビクビクさせられ、落ち着いてしっかり見たらススキの穂だったということです。

最初に中国の武漢から発生して感染した人が次々に倒れていった時は、本当に恐ろしい病気だと誰もが思ったはずです。そして知名度の高い志村けんさんが亡くなった時には、恐ろしさもピークに達しました。そんな中でも医療従事者が命がけで患者さんを助けてくれたお陰で、日増しにこの感染症の実態がわかり始め、予防するには「3密」を避けることが大切だということ、そして治療法もかなりわかってきたようです。さらに嬉しいことに、ワクチンの開発も進み、イギリスでは実際に使用開始になりました。

 今年のはじめの頃のことです。元某大手新聞社の記者をされていた患者さんから、「先生この3年間はしっかり予防をして、絶対に感染しないでください」と言われたことを昨日のことのようにハッキリ、クッキリ覚えています。病気の発見、治療、そして予防法はどれも一緒で、しっかりした手順や、薬品の使い方があります。私達が疲れ気味の時、ゾクゾクと身震いするようなことがあれば簡単に風邪を引いてしまいます。たかが風邪でも、引いてしまうと数日は熱が出て食欲も落ち、体力を奪われてしまいます。風邪さえ引かなければ仕事を休むこともなく、不快な思いもさせられなくて済むのに、ついうっかりが(もと)何日も嫌な思いをさせられてしまいます。翌日に疲れが残るような生活を避け(ひと)手間(てま)かかっても寒かったら一枚羽織るだけで、こういう嫌な思いは避けられます。私は早い段階で、この人から未知の感染症に対する心掛けを教えてもらったお陰で、今日まで元気にやってこられました。

コロナ対策は“3密”密閉したところ、人が密集するところ、密接するところを避けることが大切だということを耳が痛くなるほど聞かされています。ところが政府は一日も早く経済を復興させるため、「Go to ~」を始め人の動きを奨励しています。補助金を出してまで経済を回したためにコロナ感染者を全国に広げてしまいました。「Go to ~」を始める前は25,807人だった感染者は、1130日現在、6倍もの148,694人に、死者数は988人だったものが2,139人に飛び上がってしまいました。数字を見なくても、これだけ人が動けば感染者が拡大することは誰でもわかります。政治の責任は経済だけではありません。国民の命も健康を守ることも大切なのです。まず命を救うことを優先させることが大切なのではないでしょうか。

2020124

 

医学博士・歯科医師 林 春二