2021.01.29 林会長のお便り

 祐介先生・牟田さんこんばんは。

 早いものです。11日に始まった今年のハロアルレディオも、今日は1月最後のハロアルレディオになってしまいました。

 私は昨日、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担が2倍になる法案に反対するため、集会に参加してきました。ハロアルレディオをお聞きの皆さんは、若い世代の方が多いと思いますので、75歳以上の後期高齢者のことなんて自分とは全く関係ないと思っているかと思います。そんなことありません。すぐ自分に降りかかってきます。実際におじいちゃん、おばあちゃんのある人は、皆さんが払わなくても皆さんのお父さんやお母さんが払っているはずです。75歳以上の医療、介護を必要とする人はすごく多くて、1,800万人以上います。この人達にとって現実の問題なのです。今までは1割負担でしたが、2割になると約4万円近くの負担増になります。

 ところが今、政府は「社会保障の負担を全年齢で公平に負担しなければ、やがて若い人に高齢者のツケが回ってしまう」と脅かしていますが、理由はそんなことではありません。これから多くなる社会保障のために消費税が導入されて30年経ちます。私達が支払ってきた消費税はこの30年間で約397兆円になりますが、この内、法人税の減額298兆円と高所得者の税負担を軽くするために減税された部分275兆円、合わせると573兆円が減額されています。法人税が安くなった企業が抱える利益の内部留保は475兆円で空前の金額になっています。一番問題なのは企業が社員の社会保障費を支払わなくてもいいように、正社員を少なくし非正規社員を増やしていることと、企業の支払う法人税を大幅に減税していることに大きな問題があるのです。しかも高齢者の収入は年金しかありません。少ない人の年収は60万円です。その人からも年間4万円が引かれてしまうのです。おそらくお金が無くなれば問題があっても医者にかかれないでしょう。すると早期発見で早期治療をすれば治る病気も手遅れになり死に至るケースも出てきます。コロナに感染し自宅待機中に死亡するのと同じです。これだけ高齢者に負担を強制しても、若い人達にとって年間2,000円しか安くならないのです。一日にすると6円にもなりません。どうでしょうか。政府の言う全世代型の社会福祉というのはこの程度のことです。負担の公平性どころか、企業減税を見直すだけで余りある社会保障費が出ます。若い人にとっては遥かに遠いことに思えるかもしれませんが、やがて皆さんも現実の問題になります。その時に、今以上に大変になっていたらどうしますか。それはコロナ禍ですべての人が大変ですが、収入の道を絶たれ自殺者も急増しています。この人達は、若い皆さん方と同じ年代の弱い立場の人達です。またこれからの人生に燃えている大学生が、アルバイトを絶たれ大学を辞めざるを得ない人も出ています。こういう時の「頼みの綱」が社会保障なのです。

2021129

 

医学博士・歯科医師 林 春二