2021.04.23 林会長のお便り

 祐介先生・牟田さんこんばんは。

 東京・大阪・神奈川・兵庫・京都は三回目の緊急事態宣言が発令されました。今の状況はこれしかないということでしょうが、後手(ごて)後手(ごて)で国民に説得力はありません。国民の気持ちも意見も分科会とほとんど一緒です。政治家の「掟破(おきてやぶ)り」がひどすぎるのも大きな問題です。問題があってもノラリクラリと言い訳をして、最後の最後に「軽率な行動だった」と謝ってみても誰も納得しないでしょう。政治家は国民の信頼を受けて行動してください。熟慮(じゅくりょ)に熟慮を重ねて、どこから見ても文句の言われない言動をとることが当然です。今回のコロナ禍の問題は、国民の命と健康を守ると言いながら、とっている手法に問題がありすぎます。昨年初め得体の知れない「コロナウイルス」に国民は大きなショックを受け、志村けんさんの死によってパニックは最高潮に達しました。しかし有能な医療関係者によって、予防法が一つ一つ明らかにされる中で、PCR検査が大きな役割を果たすことが分かりました。しかし政府はなんだかんだと理屈を言って、PCR検査の拡充に背を向けて医療従事者に負担を押し付けたまま第二波でも多くの感染者を出してしまいました。この時もコロナ患者の受け入れ施設と、無症状感染者を発見しなければならないことをおざなりにして第三波に突入。当初のコロナが変異したウイルスが国内でも見つかり、水際対策をしっかりやるように分科会委員や、各大学の感染症専門家から叫ばれているにも関わらず、ゲノム解析に力を注がないうちに大阪の拡大に繋がってしまいました。この段階でも政府も自民党も、この変異ウイルスを「もう少ししっかり研究してみなければ」などと呑気(のんき)なことを言っています。大阪で始まった感染者の爆発的な増加は、一般国民の私達でさえ「これは大変なことになる。一刻も早く緊急事態宣言を発したほうがいい」と思っているのに、政府のとった政策は“まんえん防止等重点措置”です。つまり事なかれ主義の極みです。二回目の緊急事態宣言の解除の時も、有識者は当然として、一般国民の中にも相当数の人達は「まだ早すぎるのではないか」という声がある中でした。大阪地区の皆様には本当に気の毒ですが、“(あん)(じょう)”その後の感染者は爆発的に広がり、重症者も入院が出来なくなってしまいました。行政の責任者も政治家もハッキリ言いませんが、これを“医療崩壊”と言います。昨年から一年以上たった現在でも、こうならないための基本はPCR検査をもっと徹底的にやり、入院施設の拡充と保健所の再構築しかないのです。これらは政府が今まで社会保障制度をないがしろにし、経済優先にしたツケなのです。しかも75歳以上窓口負担2割化にしても若者が受ける恩恵は12円、一年間でもたった700円です。しかし75歳以上の高齢者の負担は一年間に4万円に上ぼるため900億円分が受診控えになることを計算しているのです。若い世代のためでも、高齢者のためでもないことがよく判ります。もっと言えば、国民がこれだけコロナで悩んでいるこの時に、国民の生命と健康を守るという菅政権が高齢者に負担を押し付けることなどあってはならないのです。

2021423

 

医学博士・歯科医師 林 春二