2021.08.27 関口団長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

 いよいよ2020東京パラリンピックが開催されましたね。

 いやぁ、祐介先生。開会式見ましたか?このハロアルレディは祐介先生が全てに忖度なしで物事をはっきり言うことが、ある意味“うり”となっていますから、お聞きしますね。正直、オリンピックの開会式よりも数倍感動しませんでしたか?メッセージ性も明確で見ているほうがどんどん引き込まれて最後には私の大好きな布袋寅泰まで出演しました!勿論、どちらも素晴らしいものですが、以前このラジオで「パラリンピックをオリンピックより先にやった方が良い」という意見が出た時、「それをするとパラが前座のような扱いになりかねない」ともお話ししていました。

 私はそれを聞き、そして今回のパラの開会式、水曜日に行われた車椅子ラグビーや女子車椅子バスケ、水泳などをみながら別の「前座」という言葉を思い出しました。

 それは9年前のロンドンオリンピックの閉会式後、ロンドンの町にはこんな看板が掲げられました。「サンクス フォーザ ウォームアップ」「前座をご苦労様」という意味です。オリンピックに対してパラリンピックが宣伝のためにちょっとユーモアのある看板を掲げたのです。そしてこのロンドンパラリンピックは前売り券は全て完売、史上最高の大会と評されました。パラリンピックは「社会の成熟を測る体温計」と言われ、その国、その時代に生きる私たち自身が持つ「障害」という概念の成熟度を示します。

 以前、林先生や祐介先生と3年間、最高の福祉国家と言われる北欧、デンマークに研修に行きましたね。その時、現地の様々な施設を巡った時、ある施設長の方が言いました。

 「障害者と健常者を分けること自体がナンセンス。ノーマライゼーション。共に共存し、それが日常的に当たり前の社会こそが健全であり、一方的な価値観の押し付け、障碍者は可哀そう、大変だ、という概念からの発想こそが私たちを二分する原因です。」あの3年間の研修は今でも私の社会福祉に対する考え方の根幹になっています。そして「日本はまだ私たち北欧の10年前の福祉状況だと思います。」と言われたとき、改めてこの問題に取り組む一人ひとりの考え方の大切さを知りました。

 パラ選手たちを時に「超人的」と表現しますが私はどうもその表現が好きではありません。確かに障害を乗り越え競技する彼らの姿は超絶的ではありますが、ある選手が「誰もが不可能を可能にできる」と言ったように、乗り越えられない壁はないと、挑む姿、努力する姿こそが私たちに勇気と感動を与えてくれるのでしょう。

 誰もが病を選択することはできず、誰もが必ず老いていきます。運命的にこのコロナ禍において我が国で開催されたパラリンピックは今後私たち日本人が本当に成熟した福祉国家になるために大変大きな意義があるかもしれません。彼らの挑む姿勢に私たちが何を感じ、何を行動するか。約2週間、再び興奮する日が続きそうですね。

 

2021826日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人