2021.10.08 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

今日は108日「入れ歯の日」です。

岸田政権が誕生しましたが、この政権が何をしたいかはっきりしない中で、衆議院の解散総選挙は国民を馬鹿にしているとしか思えません。今まで報道されていたのは、単に自民党の党首を誰にするかという内部の権力争いなのです。自民党員の数も、国民全体からすればほんの一握りです。圧倒的に多いのは自民党に属さない人達です。一握りの人達の意見だけで次の国会を任せることは出来ません。報道関係も報道関係です。お茶を濁すように、ほんの僅かな時間を野党報道についてやるのではなく、自民党の党首選にかけたのと同じ時間を野党にかけるべきです。そうすれば国会は今の政治の問題点や、これからの政治に何が必要なのが見えてきます。

今回ノーベル物理学賞に、真鍋淑郎(まなべしゅくろう)さんが輝きました。30年前から今の温暖化の影響を科学的に立証してきた人が、「今の日本では自分はみんなと協調していけない」と言われた発言は重いと思います。自分の生まれた国に愛着を感じない人などいるわけはありません。むしろ飛んで帰りたいと思うのが人情です。それがその反対の思いを語らなければならない辛さを考えるべきです。それは今の日本の姿にあると思います。何はなくても、ひたすらみんなの幸せのために一心不乱に頑張り続けたかつての日本人。どんな些細(ささい)なことでも喜びに変え、次のエネルギーに変えて頑張り続けてくれた先人達。その人達のお陰で物が溢れ、何でも手に入るようになると「隣は何をする人ぞ」ということで自分さえ良ければ何だっていいとい利己的(りこてき)な考えの人が増え、豊かな国では考えられない食べることが出来ずに自死する人が増えているのに、政治は民意を(かえり)みず権力争いにウツツを抜かし、マスコミもこれに踊らされている。そんな国に帰ってきたいと思う人などいる訳がないのです。

物には順序があります。シャツの第一ボタンを掛け違えたら、その後のボタンをどんなに正確にかけても全体として正しくなるわけではありません。それと全く同じ事が政治で起こります。それなのに国民の中には、「そんなこといつまで言っているのだ」という人がいます。自分に関係なければというより、自分に被害がなければ「そんなことどうでもいい。早く事を進めろ」と言うことです。それでは2011311日に起こった東日本大震災。その翌日発生した福島原発事故。これも自分に関係ないからどうでもいいと言っていてよいのでしょうか。新政権が出来ると決まって、東北、福島の再生無くして日本の再生なしと言いながら、実際にこの10年間何をやってきたのでしょうか。復興オリンピックとお題目(だいもく)をあげていながら、福島に何をどうしたというのでしょうか。こんな日本に生まれ、日本では育ったかもしれませんがアメリカに渡り、そこで生活し、研究し、ノーベル賞を受賞した人が、今の日本の何が魅力だというのでしょうか。

2021108日 

 

医学博士・歯科医師 林 春二