祐介先生、牟田さんこんばんは
突然ですが、祐介先生や牟田さんは時代劇などをご覧になったりしますか?
最近ではめっきりテレビで時代劇がドラマ化されることはありません。
昔は「水戸黄門」「大岡越前」「遠山の金さん」など、その時代の名優たちがそれぞれを演じ、ある意味では「単純明快」で「正義が悪を懲らしめる」そんな爽快なドラマが多かったはずです。しかし、これも時代でしょうか、いつしかドラマは恋愛もの、トレンディーものが流行り、今では神の手を持ったドクターものが視聴率のトップでしょうか。
そんな中、また一人名優、そして名歌舞伎役者がお亡くなりになりました。
中村吉右衛門さん(享年77歳)。実は私は大の鬼平ファンなのですが、その4代目
長谷川平蔵 がついに天国へと旅立ってしまいました。
鬼平を語るには到底このお手紙でお伝えしきれませんが、この話は江戸時代実在した人物をモチーフにしたお話です。時は江戸時代・天明、11代将軍徳川家斉(いえなり)の時代。浅間山の大噴火による天明の大飢饉がおこります。そして老中田沼意次が罷免される中、東北で唯一、餓死者を出さなかった白川藩主松平定信が老中に抜擢され、幕府の財政再建がより厳しくなります。庶民からは「白河の清きに魚の住みかねて 元の濁りの田沼こいしき」などと歌われますが、相次ぐ天災によって農村から江戸に流れてくる者が多く、そのため江戸は経済不安の一途をたどり、治安が悪化していきます。
そんな中、江戸の市民を守るため火付盗賊改方長官として長谷川平蔵、「鬼の平蔵」が任命されるわけです。この話はよくある時代劇と違い、「印籠」や「桜吹雪」などの必殺技はありません。しかし、悪を取り締まる中にも善を見つけ、止む無く悪の道にそれてしまっても、罰を与えるだけではなく更生の道を差し伸べるそんな場面も多くあります。実際、当時は軽犯罪者や浮浪者を収容し更生と職業訓練をする施設、今の中央区佃2丁目付近に「人足寄場」(にんそくよせば)と呼ばれる施設を考案したのも鬼平で、
それによって犯罪率がかなり減ったとされています。
いやいや語りつくせぬ鬼平愛ですが、最後に一つだけ。いつの時代も混沌とした世の中だからこそ、民衆は強いリーダーシップをもったヒーローを求めます。そんな中、鬼平が部下たちにこう言います。「全ての責任は俺がとる、黙って俺について来い」さてさて、令和の時代、我が国には「鬼平」のようなリーダーがいらっしゃるでしょうか。
今回、新たなオミクロン株が国内でも見つかり、政府は早急の対応を行いました。ドタバタの水際対策と揶揄する意見もあるようですが、総理が「批判は私が全て負う覚悟だ」と言った言葉は少し今までとは違う感覚を覚えます。鬼平の責任の取り方、それはまさしく切腹ですが、令和のリーダーの責任とはこれいかに。
何はともあれ吉右衛門さん、今まで本当にありがとうございました。安らかにお眠りください。 2021年12月3日 ハロアル団長 関口敬人