2021.12.24  関口団長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

今日は1224日、クリスマスイブですね。と、いっても、全くワクワクせず、何の感情の起伏も起きず、ただ、365分の1日のように感じるのは私だけでしょうか。

まさか祐介先生、この期に及んでまだ何かしようと(たくら)んでいるのでは?ダメですよ!

今日も明日もシャンパンは禁止!無駄に街をうろつかず、まっすぐ帰りなさいよ!

さて、祐介先生、クリスマスと言えばハロアルボランティアにも大変懐かしい思い出がありますね。

あれは2006年の活動です。例年であれば毎年2月に現地活動を行っていましたが、この年に訪れた「ナギャントック村」という小さな漁村の島が翌年には行政の政策により全島民が離島しなければならない事態となりました。そこで現地の仲間から何とかもう一度12月に来てくれないかと依頼を受け、私たちは医療活動の他に、ぬいぐるみやカスタネット、笛などを持って、サンタクロースに(ふん)して島を再来訪(さいらいほう)しましたね。あの時は本当に大変でした。なにせ、日本から持って行ったサンタの衣装は全部冬物。しかしフィリピンでは12月とはいえ30度を超える真夏の暑さで、みんなフラフラになりながら子供たちにプレゼントを渡していました。また、活動後、祐介先生が12月の誕生日だったために、村の人達がお祝いに手作りの打ち上げ花火をあげてくれましたね。私たちは浜辺で歓迎のセレモニーを受けながら、村の住民も子供たちも入り混じりながらみんなでその花火を見上げていました。

するとその日の医療活動で私が歯を抜いた12歳の少女が私の隣にやってきてこう言いました。「先生、ありがとう。私、大きくなったら先生みたいな歯医者になりたい。」

貧困のため学校に行くこともままならず、彼女が歯科医師になる可能性は現実は限りなく少ないでしょう。そして日本では治せる歯を私の力足らずで痛みを取る最後の治療である抜歯しかしてあげられない私に、彼女は微笑みながら自分の夢を重ねてくれました。

私は胸が熱くなるのを抑え彼女の頭をなでながら「頑張って」と言うのが精一杯でした。

私はクリスマスの季節になるといつもあの少女を思い出します。町がネオンに包まれ、みんなが楽しく思い思いのクリスマスを過ごせる中、フィリピンのスラムの子供たちは今日もゴミを拾い、物乞いをし、神様に祈りながらいつか自分にもサンタがやってくることを願っています。

先週の16日には台風22号がフィリピン南西部を襲い死者370名を超える大災害となりました。ハロアルではすぐに現地チームと今後の支援について連絡を取り合いました。この番組をお聞きのリスナーの皆さん。皆さんの楽しいクリスマスのほんのわずかな時間で結構です。悲しみに暮れ、愛する人を失った彼らのためにどうか安らかな祈りを一緒に捧げましょう・・・。

 

20211224日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人