2022.1.14 林会長のお便り

祐介先生・牟田さんこんばんは。

お正月はどうだったでしょうか。私は毎日日帰り温泉に私の飼い主さん、周りの人は万美さんと言いますが一緒に行っていました。私はどんなことでもそうですが無理をしません。疲れが出たとしたらそこで中止します。「あと少しだったのに」とか、「こんなところで中止なんて」などという後悔は全くありません。

今夜の文章を書いていながら、祐介先生と夜道を歩いたことを思い出しています。10年前の8月最初の土曜日のこと祐介先生と二人で夜道を歩いていた時の話です。その日は訪問診療をしている障害者施設やまびこ園のボランティアでした。小諸市のドカンショ祭に施設利用者の皆様が車椅子で参加するので私達はその車椅子の後押しです。その日の活動が終り30人位がマイクロバスに乗って施設まで帰るのですから時間がかかります。そこで私は歩いて帰ることにしました。夜道ですから祐介先生が私に付き添ってくれました。小諸市の市街地から施設までは4ほどですが標高差で200mあります。ズッーと登り坂で大変でした。その大変な中を歩いてあと100mのところに来た時マイクロバスが近づいて来ました。中から「先生最終ですよ」と声がかかりました。「じゃ乗るか」と言って祐介先生と一緒に車に乗り込みわずか100mのところで歩いて帰るという目標を達成出来ませんでした。そのことは残念ですが夜道で祐介先生と語り合ったこと、私を心配してくれて一緒に歩いてくれたこと今でもはっきりと覚えています。

訪問診療をしていた工藤さんという高齢者がいました。寝たきりのお母さんを自分も身体に不具合がある次男が世話していました。お盆近くだったと思います。庭の植木も芝生も伸び放題になっていたので「工藤さん庭の手入れのお手伝いしましょうか」と声をかけると、「やってくれますか」と言うので患者さんの大沢さんに「今度の日曜日手伝ってもらえませんか」と聞くと「あゝいいよ」ということで、次の日曜日に私、大沢さんとスタッフの武井さんと小諸市にある工藤さんの家の植木の手入れと草刈りをして片付けが終わると、庭が見違えるようにきれいになって工藤さんにとても喜んでもらいました。善行(ぜんこう)は一人でも出来ますが、こうして仲間と一緒にやることによってその人に喜びを分けてやることが出来るのです。

ボランティアは「()」を張ることではありません。出来ることをさりげなくやったらいいと思います。この夜の祐介先生の行為はまさしくボランティアとしては最高だったと思います。改めて感謝をします。そして私があの日途中で歩くのを止めて車に乗ったのは「声をかけられたらサッと従う」ことの大切さを祐介先生に見せたかったからです。

たいがいの人は「もう少しだから」とか「ちょっと待って」とか自分の「()」を優先してしまい勝です。それでは神様に喜ばれるボランティアは出来ません。

 2022114

医学博士・歯科医師 林 春二