2022.03.11 関口団長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

11年前、まさに311日金曜日の今日、東日本大震災が発生しました。

15900人の方が犠牲になり、未だ2523人の方々の安否がわからず、11年たった今でも故郷に帰ることができない方々が沢山いらっしゃいます。改めて震災により被災された全ての方々へ心からのお悔やみを申し上げます。

あの日私たちは自然災害の恐ろしさと、人間が作り上げて来た文明社会がいかに無力であったか。そして原発という私たちが生きるうえで必要不可欠な「エネルギー資源」の在り方そのものを考え直す岐路(きろ)に立ちました。

その中で今ではハロアルに欠かすことができない宮城県支部の三浦先生との出会いは、本当に運命的なものを感じますね。私たちハロアルでは震災10日後に、私や祐介先生、愛知の加藤先生らで宮城県南三陸町へ支援物資を届けました。段ボールにはハロアルの文字が書かれ、中には歯ブラシや石鹸などの生活物資の他に、薬や紙おむつ、生理用品なども含まれていました。その後、三浦先生は地元の復興のために何かできないかと同じ南三陸町防災センターを訪れた際、積み上げられた全国からの救援物資の中に、私たちのハローアルソンの文字を見つけ、同じ歯科医師としてこんな団体があったのかと感銘を受け、今度は自分がフィリピンの子供たちの為に尽くす番だと思い、私たちの活動に参加を決意してくれました。

私たちは11年前、「絆」という言葉のもと、誰かが悲しんでいるとき、誰かが苦しんでいるとき、分け与え、支え合い、共に生きる大切さを学びました。しかし、今世界ではどうでしょうか。ロシアがウクライナに向けて非人道的な殺戮行為を行い、多くの命が犠牲になろうとしています。震災の時、ウクライナはいち早く放射線サーベイメーターや個人線量計、そして防護マスクやヨウ素吸着缶などを支援物資として届け、原発事故で大変な思いをしている作業員や地域の方々を支えて下さいました。しかし今、日本はこのウクライナの有事に対して先日、自衛隊から防弾チョッキやヘルメットなどが送られ、岸防衛大臣は「ウクライナの人々の命を守る一助となることを強く願う」と言っていましたが、真の平和を願い、彼らの命を守る支援というのはこういうことなのでしょうか。11年前、私たちは「災害」という人間では到底抑えることができない自然の力により沢山の命を失いました。しかし今回の戦争は自然災害ではありません。誰かが愚かな決断をし、自分たちの主張、欲望の為に命を奪う人災なのです。そしてそれを止めることができるのも私たち人間でしかありません。私たち日本人は過去、戦争や幾多の自然災害によって世界でも類を見ない悲劇を経験してきました。その日本人だからこそやれることがきっとあるはずです。

 

 

2022311日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人