2022.04.01 林会長のお便り

祐介先生・牟田さんこんばんは。

今朝起きてみると外は真っ白で驚きました。信州の桜はまだまだですが、各地から桜の花が咲いている報道がされている中での雪ですからびっくりです。昨日往診に出たところで、「そろそろスタッドレスタイヤを換えましょうか」と言われたので、まだもうしばらくこのままでいいのではないかと言ったとたんの雪でした。私の診療所は往診がとても多いので、この時期のタイヤの取り扱いには特に気をつけています。

 今夜は2018年(第13回)ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアに参加した成澤(なるさわ)(ゆう)()さんの紹介をしたいと思います。彼女はゴットハンドを持っていると言われているフリーの眼科医服部さんが半年日本で治療をして、その稼ぎで半年間ベトナムでボランティア活動をしている姿にあこがれ、医師になる勉強していました。医学部を受験していましたがどうしてもうまくいかず歯科医師の道を考えてくれました

 ここで成澤さんからの手紙を紹介します。

「私は元々、医学部を目指して2年間浪人していましたが医学部の合格はもらえず、歯学部への進学を決めました。しかし諦めの気持ちなどではなく、前向きに歯科医師になることを決意できたのはハロアルでの活動に参加した経験があったからです。患者さんに笑顔で接し、励ましの声をかけながら真剣な眼差しで治療をしていた姿は本当にかっこよくて今でも鮮明に憶えています。これから思いやりの心と周りへの感謝を忘れずにハロアルで活動されている先生方のような歯科医師を目指していきたいです。」と書かれていました。

高校1年生で初めて経験した国際医療ボランティアで、それまであこがれていた医師ではなく、関口団長や祐介先生のような歯科医師が現地の人の歯を一心不乱になって治療している姿を見て目が醒めたのだと思います。それ以前にゴットハンドの持ち主、服部先生を知ってあこがれの存在になってのかもしれませんが、その日の生活費にも困っているスラムの人達に優しく声をかけ、休む暇もないほど尽くしている姿に触れ、神様に出会ったかのような感じがしたのだと思います。高校を卒業して2年間苦しい浪人生活を送ったかもしれませんが、女子高校生の胸に刻まれたやさしい思いやりは成澤さんを歯科医師になる道標にしていたのだと思います。

医療の道は医科にしろ歯科にしろとても険しい道です。人一人の命に関わりを持つのですから当り前のことです。でもスンナリ氷の上を滑るように行ったのでは当り前の尊さは感じられません。歯科大学に合格をするまでの2年間は成澤さんに神様が下さったバージンロードです。あの暑いフィリピンのスラムで、流れる汗をぬぐおうともしないで一心に治療に当たっていた団長の関口先生や祐介先生に負けない素晴らしい歯科医になってもらいたいです。

                               20224月1日

 

医学博士・歯科医師 林 春二