2022.09.16 関口団長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

9月も中旬に入り、本格的な台風シーズンとなりました。

週末のシルバーウィークでは多くの方が旅行や観光を予定されていたと思いますが、日本列島を横断すると言われている台風14号の動向には十分お気を付けください。

また、沖縄、九州地方の方々は再び上陸の恐れがあります。どうか身の安全を第一に考え準備に備えてください。

ところで、祐介先生、明日917日は何の日かわかりますか?あなたのことだからすっかり忘れている、いや、気にもしていないでしょうが、実は私は明日917日で開業20周年を迎えます。地元の仲間が有志でお祝いの花をくれました。あなたからは何もありませんが・・思い出せば20年前、右も左もわからず、自分の歯科医師としての理念さえも確立できないまま開院したころ、その翌年、あなたにこのフィリピンボランティアに誘われました。そしてその時、今後の私の人生を左右したと言っても過言ではい、恩師、林春二先生と出会いました。その出会いは今でも鮮明に覚えています。「関口先生、患者が最も望まない治療は何かな?」という突然の質問に私が驚き戸惑っていると、「それは歯を抜くことだよ。」「世界中どこに行っても心から自分の体の大切な一部を失いたいと思う人は絶対にいない。」「そう仕向けているのはそれを治せない歯医者の我々でしょ。」とおっしゃいました。そして「関口先生、技術や知識は学会やセミナーで学べるけど、歯医者として人間としての心はどうやって学んでいるの?」と尋ねられました。私が返答に困っていると、「関口先生、私と一緒にフィリピンに行こう。貧困によってたった歯ブラシ1本を買えないスラムの人達と触れ合い、人間の本当の心の在り方を学びなさい。」あれから20年が過ぎました。正直、思い出にふけったり、感慨深い気持ちは全くなく、それよりもまだまだ未熟な自分を日々反省し、先日も師匠である林先生に教えを乞うたばかりです。ただ、この20年と言う年月のなかで、私が頑張れたのはやはり、林先生のもと「歯を抜かない治療」を目指し、ハロアルによって治療を受けたくても受けることができないスラムの人たちと出会ったことで、医療人として両極端にいる患者さんの心の声を聞きながら祐介先生をはじめ多くの仲間とスタッフや家族の支えがあったからです。そして、こんな未熟な私でも私の治療を信じ、私のハロアルの活動を共に歩んでくれる沢山の患者さんのおかげです。また、フィリピンの仲間たち、マニラ・ラハ・ソライマン・ロータリークラブのメンバーにも心から感謝します。代表リッキーは「たとえ私が引退してもセキがやり続けるまで私も一緒に頑張るよ」と言ってくれました。しかしこの20年全てがうまくいったわけではありません。私の治療に不信感を抱かれ、不具合が生じてしまった患者さんも多くいるでしょう。そのことを決して忘れることなく、おごらず、謙虚にこれからも頑張っていこうと思います。

 

 

2022916日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人