2022.10.28 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

 新しいスタジオ慣れてきましたか。はじめは右住左住、失敗のないように細心の注意をはらいますが、一回が二回になり回数が増すたびに注意は散漫になり、注意していたことさえ忘れてしまい、何事もなかったかのように忘れ去られてしまいます。

 回数を重ねることが経験になって良いことですが、たいした問題でないと何度同じような小さな失敗を重ねても反省すらしなくなります。しかしその小さな失敗を繰り返している内にやがて取り返しのきかない大きな失敗が起こってしまいます。

 私が亜細亜大学を卒業した1966年のことです。その頃はまだ自家用車はめずらしい方で卒業祝いにブルーバードを買ってもらいました。その年の暮、12月のことです。30㎝位の雪が降って、私の前の中型トラックが急停車した時すぐ後を走っていた私は思いっきり急ブレーキを踏みましたが、トラックのバンパーに追突してしまいました。運よくというか、バンパーがブルーバードのボンネットより少し高い位置だった為にトラックには白いペイントがつくだけでしたが、こちら側のボンネットは上から押し付けられたようなスリ傷が出来てしまい修理してもらいました。数日後、車を受け取りに行って国道に出ようとした時、今度は国道から私の方に車がスリップしてきて衝突してしまいました。この時の修理費は相手側が払ってくれたので支払いの心配は全くありませんでしたが、直してくれた修理屋さんに車を持っていき、「そこでぶつけられちゃったので直して下さい」とだけ言えばよかったのですが、「なんだ。またぶつけたのか」と言われたものですから、「またお金になるからいいじゃないですか」と言ってしまいました。するとご主人から「お金なんかよりこの車がダメになるまで大事に乗ってほしかった」と言われ、そうだなと思わず汗をかいてしまいました。

 私が雪道でスリップして衝突したのは、細い道だったこと、車間をしっかりとっておかなかったこと、雪道の急停車ではブレーキをかけた時にスリップしたら少しブレーキを離し、すぐ再ブレーキをかけスリップしないことを覚認することが出来ていなかったことによる事故だったのです。次の事故は細い道から国道に出るのですからスピードを落とせば良いというのではなく、国道側から入ってくる車がスリップしたとしてもよけられるように配慮をしていれば避けられたかもしれないということでした。一番いけなかったのは私が相手の思いを十分考えないで発した言葉でした。つまりこの時の出来事は全て私がいかに自分勝手で思いやりに欠けていたということに尽きるように思います。幸いなことはこれらのことが小さい事で済んだことです。

番組も間もなく1000回を迎えます。リスナーの皆様の中には大変な状況の中で日々を送っている人がいると思います。私の若い頃の苦い思い出話を参考にして。常に相手を思いやれる祐介先生であって欲しいと思います。

 

                              20221028

 

医学博士・歯科医師  林 春二