2023.03.03 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

 大部暖かい日が続きました。しかし今朝はマイナス5℃に下がって一気に冬に逆戻りしたような気がします。春の入り口は「三寒四温」とはよく言ったものです。でも今年は少し変わっていて暖かい日が続くようです。

 時間が少し過ぎるとすっかり忘れてしまいますが、トルコ・シリアの大地震が起きてからまだひと月も経っていません。一日も早く復興できるように協力していきましょう。

今夜は、ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアについて書いておきます。「ハローアルソン」については祐介先生の口から話してもらった方がいいと思いますが、2005年フィリピンのスラムで出会った10才の男の子の名前です。この時前歯4本が同じように虫歯になって半分近く欠けていました。アルソン君は全部痛いので抜いて欲しいと言います。若いので抜かない方がいいと言ったのですが、全部抜いてくれと言います。その子のカルテに「ブノ」日本語で歯を抜くことと書いて祐介先生に回しました。前歯は6歳頃に生えたばかりですからこの前歯を抜くなどあり得ません。痛いので抜いてくれというのですから、大きな声で「祐介4本抜いてやれ」と叫びました。その時の衝撃からこんな思いはしたくない、させたくないということから「ハローアルソン・フィリピン医療ボランティア」を立ち上げることになりました。その時4つの柱を打ち立てました。第一にフィリピンの恵まれない人達への無料の歯科治療。第二にこのボランティアで使うハブラシ、タオル、石鹸を周囲の人達に呼びかけ集める。第三にこの活動を通して私達が忘れている思いやりや、やさしさを思い起こしてもらう。第四にこの活動に高校生にも参加してもらって国際的に通用する思いやりのあるやさしい国際人になってもらうというものでした。

それから、もっと大切なことですが、ボランティアを呼びかける団体は沢山あります。しかしその報告をしてくれる団体はありません。そこで私達はその年、どれくらいの物資が集まって、どれ位の一般人や高校生が参加してくれ、フィリピンのどこのスラムで、何人位の人達に、どんなボランティアが出来たかを報告する。その中で高校生達にどんな体験ができたか、それまでの自分の生き方とこの体験が出来たことによって自分の将来にどんな思いが湧いたかについて発表してもらいました。もう一つ、その年の報告書を作って周囲の人達に読んでもらって、更にこの会のPRにつなげていこうというものでした。

 お陰様でこのボランティアに参加してくれた高校生も500名を超え、既に医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士になってハローアルソン・フィリピン医療ボランティアで活動してくれる人、社会人となって会の活動の大きな力になってくれる人が出ました。さらに大きな力になれるように活動の輪を広げていきたいと思っています。皆様にはこれからもハブラシ、タオル、石鹸などの物資やカンパに協力してもらいたいと思います。

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医学博士・歯科医師  林 春二