2023.03.10 関口団長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは

 

明日、311日で東日本大震災から12年を迎えます。犠牲になられた多くの方々、そして今尚、行方不明となっている2523人の方々の安否に心からの哀悼を捧げます。

恐らく、明日の日本国内は、今日行われたWBCの日韓戦の勝利に歓喜しながら、一方で決して忘れることのできない震災の深い悲しみに包まれることでしょう。

今日、私の地元栃木県那須は一日中曇り空でした。仕事に向かう時、12年前もこんな天気だったなと思い出しながら空を見上げました。

あの日の記憶は今でも鮮明に覚えています。長男が卒園式を迎え、私の医院に家内と

一緒に訪れた矢先でした。大地がうごめくような地鳴りと揺れ・・。誰もが尋常ではないと感じ、テレビをつけるとそこには悪夢のような悲劇が映し出されていました。

その夜、何度も余震が繰り返され、停電が続き、日本中が不安と恐怖に包まれました。

実は私はその翌日12日が誕生日でしたが、仕事が終わり自宅に帰ると停電の中小さなケーキにローソクが(とも)され、ささやかながら子供たちが祝ってくれました。私は素直に今生きていることに感謝をすると共に、幼い子供たちに言いました。「家族がこうして一緒にいられることに感謝しよう。そしてこれから東北の人達のために皆で助け合わなければならない。」まだ小さな彼らにはその意味は分かりません。しかしあの時子供たちとローソクを見つめ被災地の方々の為に黙とうをしたのを今でも覚えています。

翌年、私たちハロアルが訪れたスラムでも人々が口々に日本の心配をしてくれる中、ある女性が私に言いました。「先生、私たちは貧しいためお金を協力することはできません。しおかし、私たちは毎日日本の人達の為に祈っています。」

あれから12年という年月が経ちました。震災で負った悲しみは決して消えることはありません。しかしそれでも東北は強くたくましく前に進んでいます。これからの私たちにできること。それは様々な教訓を生かし、「災害」という私たち人間の力では抗え(あらがえ)ない宿命に一人ひとりが考え、準備することが、犠牲になられた人たちへの鎮魂となるのではないでしょうか。

震災後「復興」と言う名のイベントが多く開催されましたね。オリンピックをはじめ、沢山のアスリートたちの活躍は本当に多くの人達を勇気づけました。

今、野球というスポーツがコロナで疲弊した社会を打破するように、連日私たちに興奮と感動を与えてくれます。私たちにできること。それは命と平和の喜びを素直に感謝しながらそれが叶わぬ人達の悲しみに心を寄せ、祈り、行動することだと思います。

私たちハロアルも67日、いよいよ再始動します。被災地を支援することも、フィリピンのスラムで活動することも本質は同じです。私たち一人の力は小さくてもみんなが一つになればきっと何かは出来るはずです。祐介先生、頑張って行きましょうね。

2023310日 ハローアルソンフィリピン医療を支える会 団長 関口敬人