2023.11.24 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

浅間山にも雪が降りすっかり冬ですが、意外にも木々の紅葉は残っていて美しい山の姿と紅葉が見事なコントラストを見せてくれています。国際的に有名な軽井沢はいつでもいい所ですが、特に夏から秋にかけての紅葉が素晴らしいです。

そして、晩秋から初冬にかけて雄大な浅間山に雪が下りる様は表現できないくらい心に輝きます。国内はもとより海外からの観光客が多いのも頷けます。

11月もいよいよ終りに近づき、気忙しくなります。診療所の方では入れ歯関係が増えてきています。とりわけ訪問診療で入れ歯が必要になるケースはとりわけ大変です。

昨日1123日、長野県の「保険でよりよい歯科治療」を進める会では、信州大学口腔外科学教室の栗田浩教授の口腔がんの早期発見、早期治療について講演してもらいました。見るだけでは口腔内の癌は分かりづらいものがあるので、2週間たっても治らない病気は専門病院に送った方がよいとアドバイスを受けました。会場は長野市内ということもあり、早い時期からしっかり広報したこともあり沢山の市民が参加してくれました。その後、歯科衛生士さんのハミガキ指導と歯の健康相談がありました。

その中で2人のケースを紹介します。最初に私のところに来てくれたのは70代の女性で長野市の近くのその町には最近も歯科医院が出き、歯医者はもうかっているから「保険でよりよい医療を」なんていう署名は必要ないのではないかということでした。大きな町では開業する人も増えてきていますが、地方では開業医が高齢化し、今まで診てきた人数はとても診ら

れなくなっていること、住民の皆様の健康感が高まって高齢者の口の中にも自分の歯が沢山残っていて治療が困難性を増している事から、やはり若い先生ももっと必要な事等話しました。次の方が問題です。

98歳になる母親が、最近食事のとき、よく食べられないせいか痩せてきてしまったので、自分のかかりつけの先生に診てもらえないか聞いたら、予約を取って下さいということで2ヶ月先でないと診てもらえないとのことでした。98歳の高齢者の2ヶ月先なんて亡くなっていることも(まれ)ではありません。実際当院の訪問診療をしている高齢者で口の中の型を採って次に入れる予定で訪問したら亡くなっていたなんていくらでもあります。ですから私は訪問診療の依頼があったら、その日の内に行くこと、どんなに大変でも、他のケースを伸ばしてでも翌日にはSETしてやるように配慮しています。人生最後のステージにいる高齢者にとって新しい入れ歯が入ったときの嬉しそうな笑顔は何にも代えがたいものです。その後よく食べられるようになりましたと報告を受けると歯医者になって本当に良かったと心から思います。

 

 

 20231124

 

医学博士・歯科医師  林 春二