2024.02.02 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

 新しい年を迎えたと思ったら、今日はもう2月に入ってしまいました。

 今夜は「人生の最後の段階で一番大切なもの」ということについて話してみたいと思います。少し前のことになりましたが老後に2,000万円以上必要になるという話が出ましたが、2,000万円以上貯えている人などほんの一握りだと思います。だからこそ若い時に厚生年金や国民年金に入って僅かな給料の中から掛金を払って老後に備えてきたわけです。しかしそれも現役世代の収入の7割程度しか支給されません。政府は就労している人達にこの説明をちゃんとしてくれたのでしょうか。若い内なら多少無理をしても掛金を割り増しでかけられたかもしれませんが、支給が始まる頃になって急に言われてもどうにもなりません。デンマークでは年金だけでちゃんと生活できます。

 人生の最後のステージになれば「お金」は本当に大切です。今夜のお話はそのお金のことが書いてある経済誌の中に書かれていたことです。

 私の診療所がある長野県北佐久郡御代田町、と言うより天下に名高い軽井沢町の隣町だと言った方がわかりやすいですね。そこで小学校の校医をしていますが、要望があるクラスには歯科衛生士が年に何度となく指導に行っています。そこの校長先生に聞いた話ですが、ご主人が115日、ドンド焼きのお手伝いに行った時に木の枝の先が目にささってしまい、眼科を受診しました。診療が終るまで待合室の本棚にあった経済誌をとり出して見ていると「老後に一番大切なもの」という記事があったそうです。

内容は老後に大切なのは「足」と「歯」のことだということでした。「足」は何をするにも必要ですし、足が不自由になると様々な障害が出て、体全体に影響してきます。もちろん脳への刺激も減りますから認知症のリスクも高まります。「歯」についても同じようなことが言えます。高齢者の楽しみは食べることです。歯が痛かったり、よく咬めなくなったりすればおいしい食べ物も楽しむことが出来ません。咬む力は運動能力と関係していますから、さもなくても歳を重ねるごとに動きがにぶくなり、足にも影響します。また咬み合わせが悪いと咀嚼力つまり咬み砕く力が落ちます。咬合力と違って咀嚼力が落ちると脳の活性化が落ち、認知機能を低下させてしまいます。その結果認知症になりやすくなります。この本に書いてある通りです。

 この校長先生は当院の学校歯科の在り方をとても評価してくれています。老後になってから「歯」を大切にするといっても既に口の中に健康な歯がなければ歯の大切さにどんなに気付いたとしても、歯を失ったことを悔んでみてもどうにもなりません。

 小学生にハローアルソン・フィリピン医療ボランティアの話や、スラムの人達の話をしてもピンとこないかもしれませんが、いつかそれを思い出してそこから頑張ってくれるかもしれないので、小学生の頭に「入れ込む」ことが大切だと言ってくれています。ハローアルソン・フィリピン医療ボランティア2024もあと僅かです。日本にいる皆様はこの活動が何事もなく完了することを祈っていてもらえるとうれしいです。

 

202422日 医学博士・歯科医師  林 春二