2024.05.03 林会長のお便り

祐介先生、牟田さんこんばんは。

 

 ゴールデンウィークに入って軽井沢は国道、浅間サンラインも車、車であふれています。お客さんが沢山来てくれることはうれしいのですが、現地の人達の生活は大変です。経済も大切ですが、生活も大切だと思います。いい解決策はないのでしょうか。

 ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアは4つの柱の下で活動しています。第一にフィリピンのスラムの皆さんに無料の歯科治療をする。第二にそこで使うハブラシ、タオル、石鹸を身の回りの人に呼びかけて協力してもらう。第三にこの活動に協力する中で皆さんの中で忘れられているやさしさや思いやりを思い起こしてもらう。そして第四にこの活動に高校生にも参加してもらって国際的に通用する社会性豊かな国際人になってもらうというものです。

 2004年にスタートしたこの活動も20年になります。高校生の参加も既に550名を越えて、歯科大学を出て国家試験もクリアしてこの活動で重要なメンバーになってくれる人も出ています。ハブラシ、タオル、石鹸を呼びかけてもらうためにはボランティアをするという意識もとても大切ですが、お願いした人があなたに頼まれたのでは協力しない訳にはいかないねと言われるような人になって欲しいです。年数を重ねたら参加者や協力者は増えるかもしれませんが、人数だけ増えてもスラムの人達の幸せは大きくなりません。上から目線で投げやりな治療ではその瞬間はよくても少し時間がたてば元の目あみです。むしろほんのわずかな処置だったとしても二度と再び悩むことがないように祈りを込めて、それこそ全身全霊で治療することの方が大切なのです。相手がスラムの人だったとしても全身全霊で事に当たれる人間性が問われるのだと思います。

 観光地を訪れる人がみんなこういう思いがあったなら、そして観光客を迎える現地の人にお互い様だからという思いやりの心があったらもっと喜ばれると思います。好き勝手に駐車し畑であろうと通路であろうと歩き回り、現地の人の心まで踏みにじるようなことは考えられないのではないでしょうか。フランス人のポールクローデルが、この地球上で一つの民族を残すとしたら日本人だと言われた人はこういう心配りの出来る人ではないかと思うのです。

 ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアが20年も続けて来られたのはこういう考えが浸透しているからです。また現地のスラムの人達もこういう仲間だからこそ、ハローアルソンに来てもらいたい。出来れば自分達も何かお手伝いさせてもらえないかという気持ちが盛り上がっているのだと思います。

 日本サッカーのサポーターの皆さんが試合に勝っても負けても、みんなで競技場をきれいに片づけている姿が賞讃されるのも、また現地の皆さんが次第に協力してくれているのも、こういう心があるからなのではないでしょうか。

 ゴールデンウィークで観光地に行かれる皆様どうか又来てもらいたいと言われるような行動をお願いします。

 202453日 

 

医学博士・歯科医師  林 春二