祐介先生、牟田さんこんばんは
九州や近畿地方ではここ数日で梅雨が明けるそうですね。
今年は例年よりも梅雨が短く、そして暑い夏が長くなる予報です。既に熱中症により病院に搬送された方も多く、毎年6万人以上の人が熱中症の診断を受けています。
これから更に暑い日が続きます、どうぞ皆さん、こまめな水分補給と適度な温度管理にお気をつけてください。
ところで、いよいよ私の地元栃木県那須にも連日夕立が降り本格的に夏の準備に入りました。そしてこの時期は毎日のように雷の音が数時間鳴り響いています。那須は全国的にも雷の発生率が多く、毎年必ず数回は雷による停電が発生します。
昨日も夕方4時ぐらいでしょうか、ゲリラ豪雨が発生し、大雨が降る中、ゴロゴロと雷が鳴り始め「ドカーン」と言う音と共に病院内の電気が消え、パソコンや全ての機械が止まりました。まぁ、私達も患者さんたちもいつものこと、という感じで驚くことなく、隣の診療台に座っている麻酔を打ったばかりの患者さんに「○○さん、歯医者は電気がないと何もできないから、このまま停電だったら今日は麻酔だけで帰るようだよ」と私が声をかけると、診療室中の患者さんが笑うほどでした。私は一時治療が中断した診療室で患者さんたちに話しました。「私の家内は奈良県出身だから、こっちに来たばかりの時はあまりの雷の音の大きさに〝爆弾でも落ちたんちゃうの″と言ってたよ、でもこれが本当に爆弾や戦争じゃなくて良かったよね。今世界では本当に爆弾の音で毎日怯えながら生きている人が沢山いる、そしてそれを話し合いではなく、更に強力な爆弾でしか解決できないという悲劇がある。さらに恐ろしいのは隣の国も、豊かな国も、国連さえも誰も止めることができないということ。」院内は停電により予備電源のライトだけが薄暗く光っていました。患者さんたちがウンウンとうなずきながら話を聞いていると、パッと電気がつき、電力が復旧しました。私は再び診療を始めながら、患者さんたちに言いました。「日本は本当に凄いね。わずか数分で電力を再稼働させれるのだから。」「僕が昔行ったフィリピンの漁村では電気がなく、治せる歯も治せず、沢山の子供たちが歯を抜かなければならなかった。だから皆さんの歯だけは抜かずにしっかり治したいと思っている。」
昨日の停電は恐らく2~3分ぐらいだったでしょうか。電気が止まり、空調も止まり、
何もできない時間に、こうやって患者さんと冗談を言いながら柔らかな雰囲気で平和に治療ができることに幸せを感じながら、ふと、19年前に訪れた貧しい漁村の風景を思い出した一日でした。
2025年6月27日 ハローアルソン・フィリピン医療を支える会 団長 関口敬人