祐介先生、牟田さん、リスナーの皆さんこんばんは。
若い人と蜘蛛の糸について話すことがあります。お釈迦様はひどい神様だという人がいました。せっかくカンダタを助けながらまた地獄に落とすなら最初から助けなければいいのに、一回助けてまた地獄に落とすなんてひどいというのです。
悪の限りを尽くしたカンダタが刑場に連れていかれる時、足元の蜘蛛を踏んでしまわないで道の横に逃がしてやります。その後カンダタは地獄に落ち、血の池で蠢いているときに、天国のお釈迦様がかつてカンダタが1匹の蜘蛛を救った善行を思い出してくれました。そこで天国の蜘蛛に銀の糸を垂らさせてくれます。血の池にいたカンダタは死に物狂いで糸をよじ登りました。疲れたので一休みして足下を見ると沢山の人がカンダタの足の下にぶら下がっていました。自分助かりたい一心で「これは俺のものだ!みんな降りろ!」と叫んでしまいます。カンダタの後から登ってくる人たちを邪険にしたその瞬間、蜘蛛の糸はカンダタの手の上から千切れてしまい全員が血の池に逆戻りをしてしまいました。
助かりたい一心で登っていた時には千切れなかった銀の糸が他の人たちを邪険にしたところでそれまで何もなかった糸はカンダタの手の上から千切れてしまったのです。蜘蛛を助けようとしただけでも助けてもらえたのに他人に意地悪すると全てを失うことを教えているわけです。休まないでさらに頑張って登っていたらどうだったのか、善行をたった一回でなくコツコツと毎日続けていたら、もっと沢山の蜘蛛の糸を投げてもらえたのではなかったのか、蜘蛛の糸にへばりつく仲間たちに「焦らずにゆっくり登ってこいよ」と優しい声をかけていたらどうだったのか考えさせられます。
ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアでは常に周りの人々に喜んでもらえる人に、そして自分が声をかけたときには喜んで協力してもらえる人になりましょう。自分が他の人から呼びかけられたときに断るのではなく、その人の気持ちに添えるように振る舞える人になることが大切なことを伝えています。それが一日一善を行うと言うことです。そうしたら何か起こったときに何とかこの人を助けようと思われる人になるのです。 ハローアルソン・フィリピン医療ボランティアはそういう心を持った社会人になってもらう修行です。この道は関口団長や祐介現地統括責任者のおかげで既に20年間やり続けることができました。たくさんの皆様の協力があって今日を迎えたわけですが、私たちが歩んできたこの道は目的地に到達したわけではありません。まだまだ果てしなく続いていくと思います。ここで何年やったから何十年やったからと傲慢な気持ちになって語ったとしたら、それこそカンダタがこれは俺のものだといった瞬間に、自分の手の上から蜘蛛の糸が切れてしまったように、私たちも批判の嵐の中に落とされてしまうでしょう。みんなで力を合わせてさらにスラムの人たちに喜んでもらえる活動にしていくことが大切だと思います。そのためにもたくさんの皆様に喜んで協力してもらえる人になる努力をしていきましょう
2026年7月23日 医学博士・歯科医師 林 春ニ
